某財閥系の新築分譲マンションに入居して早10年。いろいろと思うことがあって、住み替えることにしました。家を買ったり、私のように住み替える人にそれぞれの理由があるとは思いますが、私たちの場合はこんな事情がありました。
理由1:物件に魅力を感じていなかった
ずっと自分の家が欲しくて、2000年初頭から地域の分譲マンションの価格を見ていました。ところが生まれ育った居住地は、東京23区並みに高い地価のエリア。当時夫婦ともに都内に通勤する会社員だったので、駅から徒歩圏内の物件で予算を考えると持ち家は夢のまた夢。
ところがリーマンショックが起きた際に、地元のマンション価格が大下落。財閥系新築分譲マンションで駅近、3LDKでこれまでより1000万も安い価格で販売されていました。内見して設備も整っているし、広さもあるし、駅から徒歩9分。「どうしても地元から離れず、持ち家を」と思うと、ここで手を打つしかありませんでした。
そういう意味では立地と価格が気に入って購入したけれど、ほかに気に入っているポイントもなく。加えて実家は隣駅に戸建があるため、終の棲家とも考えていませんでした。
理由2:住環境が変わってしまった
駅近だけど喧騒とは一線を画する静けさは、数少ないお気に入りポイントでした。ところが、10年も経つと近くの一軒家が分譲マンションになったりして一気に人口がぎゅっと過密に。
そして公園も学校の校庭もあるものの、道路上で子供を遊ばせる人が急増していました。ビルに囲まれた立地なので叫び声は共鳴してしまって、家で仕事をする私には騒音がネックに。仕方なく別のマンションを借りて仕事場を作っていましたが、お金もかかるし通勤が面倒だし…。
さらに新型コロナによる外出自粛が追い打ちをかけ、毎日WEB会議もできない程のけたたましさ。夫も音を上げ「この先もここで暮らすのはきついね」と、半ばギブアップ状態でした。
理由3:夫はマンション派、妻は戸建派
もともと私は二世帯住宅の戸建の育ち。夫は社宅~マンション育ち。持ち家にはお互いが馴染みのあるタイプを希望していました。
夫の母から「共働きは留守がちなんだから、セキュリティがしっかりしているマンションのほうがいいわよ」と強く言われ「確かに!」と、結果的にマンションを選びました。でも「ローン返済するにしても管理費がもったいないな」とも。住んでみると定期的に在宅が求められる設備メンテナンスも、どちらが在宅するかで毎回調整が大変でした。
理由4:管理会社への不満
マンションの管理会社は、分譲マンションのメーカーの子会社でした。それもウリのひとつでしたが、実際はあまり仕事をしてくれないことが多く…。管理人が通いで来るものの、ゴミの収集時に集積所から外に出すことと、その後のお掃除だけの仕事量。
上の階で火のついたタバコをベランダから投げ捨てる住民トラブルがあった時も、解決に3年以上かかっていましたす。駐輪場に無許可の自転車が4年以上も放置されていたり、楽器禁止なのにピアノを買うご家族、廊下に私物を並べるご家族などと半ば無法地帯。管理規約は作るけれど、住民に強く指導しない方針なのかもしれません。
ほかの財閥系マンションを買った同じ地区の友達と情報交換をしていましたが、他社はこうしたトラブルには迅速に対応していると聞き…。うちのマンションは分譲なのに、ちょっと残念でした。
理由5:思いのほかマンションに価値がついていた
と、まあ不満を溜め込んでいたマンション生活。夫の会社が在宅勤務になったのをきっかけに、引っ越し話がにわかに持ち上がりました。
「試しにいくらで売れるか調べようか」と、マンションをWEB上で査定に出したら1時間もしないうちに電話が。「ぜひうちに扱わせてください!」と、複数社から一気に問い合わせが来ました。
本査定では購入時の価格より1,000万以上高く売却できることが判明。一気に住み替えが現実的になりました。人気エリアの物件を底値で買っておいたことで、売却益から残債の精算も住み替える家の頭金も作れました。
もともと欲しかった一戸建てが、よもや騒音をきっかけに手に入るとは思いもしませんでした。さすがに次に住む家は夫の定年までは暮らすので、環境はよくよく考えて選ぼうと思っています。